第1章

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 学校を出て四つ角を右に曲がると市街地に出る。 夜になると一気に怖くなるこの街も昼間は普通の、健全な高校生で溢れた街。 「夕子は彼氏作らないの?」  今日は恋バナデイなのか、朝から恋バナしかしていない。 「恋はするものじゃなくて落ちるものだよ」  右手の人差し指をたててウインクをして言ったら、冷たい目で見られた。 「そんなことばっかり言ってるから」  彩菜はため息をついてから呆れた顔でそう言った。 「なにさ、自分には高迫くんがいるからって」  リア充爆発しろ、と彩菜を睨むと、全然怖くな~い、とバカにした声で言う彩菜。  コンクリートのマス目に沿って足を動かすと歩調が早まる。 しばらくそうやって遊んでいると、おもむろに彩菜が口を開いた。
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