第1章

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「相変わらず、俺と同期で副局長のくせに毒舌さは直らねぇな。蛇野郎」 「はは、蛇ですか。私は蛇のようにしつこい人間ですからねぇ…… オルガ局長、まだ悩んでいるんですか? 国の王が決めたことは私達には逆らえませんよ。下の部下たちも納得してるものもいます。 例え貴方の元を離れる日が来ようとも、真の心はいつも貴方に忠実でこの国を守るために、剣を抜くことに変わりません。 だから……」 まるで蛇、は兎のように丸く収まった瞳で言葉を濁す。 その濁した言葉に、オルガは悲観的な表情を見せ、首を横に振る。 そこに、少しの沈黙はあったが、まるで牙を抜かれた獅子を撫でるように蛇が口を開く。 「私は、両親がいなくこれまで一人できた。 そんな私に、オルガ……君がいく宛もなくさ迷ってた私に手を差しのべてくれた。 あのときの君は、天使とはほど遠い、獅子のように凛として、たくましく、勇敢さが全てのものを立ち上がらせてくれたんだ。 私は、オルガのようになりたく必死に追い付こうとした……結果、齢16で国家警察の副局長まで上り詰めた。 だが、次は私がオルガを救う番だ。 私は、違う形で国を、 オルガ……君を守ると誓う」 「ウィエル……そうか、もう俺が何を言っても変わることはないんだな?違う形で国を守るか。 この国のいく末は、まだ混沌としている。 騎士と警察が共に力を合わせ、剣を抜くのが当たり前になっているかもしれない……が、お前は他の道で違う形で守るといった…… 俺はそんなお前が誇りだよ。 ありがとう、ウィエル」 「グラッツェ、オルガ……また会う日まで」 ウィエルは敬礼をし、胸の勲章をオルガに手渡しその場から姿を消した。 雲は段々と青い空を囲み、やがて夜が来る。 そして、一人の幼い子供の影がローマの街を閑散に訪れる。 真っ黒の衣を纏い、薄い唇からは人間のものとは思わぬ尖った八重歯が覗く。 「さぁ、神の裁きの時間だ」
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