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「投獄……俺ァ、別にお嬢ちゃんを……おっと、いけねぇ……フィラン皇女をそこまで思ってはいない。ただ国が安泰の方向に向かっているのは事実かもしれない。
が、国のために今まで俺達警察は、命懸けで国を守ってきたんだ。
それをなぜ今、減らしてまで……いや、頑張って来た者たちの恩返しが、居場所を国が奪おうとする?
俺は納得いかないぜ、俺はまだまだ若造だがこの胸の勲章を貰うまで数々の人を守り、そして国のためにこの命を預けた。
……あの、“神の裁き”があってからだーーー」
「神の裁き……、そういえばそんなこともありましたわ。
お母様はあのとき……いえ、何でもありませんわ。
オルガ、どうか貴方の気持ちも察しております、けれど、王が決めたことには逆らうことは出来ませんの。きっと、王は何かを捨ててまで得なきゃならないものがあると思うの。
だから、オルガ……これ以上困らせないで……もう幼い頃に貴方が私の隣で使えていた頃とは違うわ。
ごめんなさい、オルガ……」
辛そうに俯くフィラン皇女に、オルガは腹を決めたのか、引き締まった様子で何も言わず、閑散に宮殿を出ていった。
空は、段々と曇り模様を見せていく。
「ちっ、……あんな面、俺に見せやがって。俺が王宮に使えてた頃と変わらねぇ」
オルガはそう呟きながら、たまに欠伸をしては、深閑な古い建物が並ぶ町外れに来ていた。
そこは、人影はなく見るからに、人が住める程の快適さはない。
そして、大きな大樹に並ぶ小さな墓がある。
これは……
「……父さん、母さん、たまにしかこれなくて悪いな
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