第1章

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そこには、二人の男女の名前が刻まれていた。 女性の名は、 “カテリーナ・ルシス” 男性の名は、 “リーノ・ルシス” 墓に刻まれた亡くなった日付は、今から3年前になる。 これは、紛れもなくオルガの両親の墓だ。 普段は、厳つい顔色だがここでは幼い少年のような眼に戻る。 「父さん、父さんが王の騎士として使えていた頃とは、もう全てが新しい時代へと塗り替えられてくもんだな…… あの頃は、父さんが騎士として俺を一流の剣士に育てあげようとしてたのを、今でも思い出すよ。 あの頃は、父さんが王宮にいくたびに俺がアヒルのように付いてっては、フィラン皇女ともよく庭を走り回ったけな…… 父さん、母さんが亡くなってから俺は王宮の騎士を止め、いまは警察になった。 剣を抜くことに変わりはないが、あの宮殿にずっといるよりマシだぜ? だから、安心して見届けてくれないか? ……仇は必ず俺がとってやるから」 先程買ってきてた百合の花束を、オルガはそっと墓の手前に置くとニッと歯を剥き出しに笑む。 刹那、慈しむかのように一筋の太陽の光が墓を照らす。
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