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異端者の逆襲から数か月__。
アシュと呼ばれる異種生命体が世界中に出現。人類を始めとしたあらゆる生物に対し一斉攻撃を仕掛けてきた。常識を逸したアシュ達の前で通常兵器はあまりにも無力であり、事態は困難を窮めた。
しかし、ある2人の能力者によって事の元凶とも言えるアシュを撃退。トップが叩かれた事により共有器官を持つアシュは一斉に攻撃を止め、何処かへと消える。異端者の逆襲は収束を迎えたのだった。
世界が手にしたこの平和は、果たして本当の平和なのか。例え偽りの平和だとしても、時としてそれが救いになる時がある。いつしか本物の平和となる時が来る。そうある者は信じ、ある者は真実から目を逸らす。
__蝉が鳴いている。気温は高く、遠くに目を向ければ蜃気楼さえ見えている。確かにアシュの出現は世界を変えた。しかし、ここまで暑いと家に篭りたくなるという人の性は変わらなかった。
高校が長期休暇中である暁 優闇は、大義名分を持ってクーラーで冷えた部屋に篭り同居人達と快適な生活を過ごせる筈であった。それでもだ。この気温の中でさえ外に出歩かなければならない事情に彼は悩まされていた。
「___食糧が無い。」
作り置きしていた料理も、材料も、はたまたインスタント食品も。彼の家にあるあらゆる食料が、彼のいない間に次々と消えていくのだ。家には彼と、同居人であるマリアとその妹のカリナの3人だけ。料理とインスタント食品に関しては彼女達が食べたと考えてもいいが、料理することが苦手な筈である二人が食材に手を出すとは考えづらい。そんな原因不明の悩みを抱えつつ優闇は今日も食材を調達しに出かけていた。
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