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「暑過ぎる。」
そんな悩みなど関係無く変わらず日差しは容赦無く照り付けていた。暑さは人の体力を奪う。特に黒い服を着ていれば尚更だ。残念な事に彼はそんな服を着ている。自身のメインカラーと称して着ているが、「ある場所に行けばそんな格好をした人は五万といる。」そう彼の親友は話しオリジナリティの無い没個性だと説明したが理解は得られなかったようだ。他に服が無いわけではない。単純に訳ありで今の自身の髪は銀髪で、それに合うのが黒い服だった。それだけの話なのだ。
外を歩かなければならない事情はもう一つある。同居人であるマリア・S・ハートネスは能力者であり、彼女は空間を操る能力を所持していることから、その気になれば好きな所に穴を通じて移動する事が出来る。いや、出来ていたのだ。最近までは。数日前から彼女の能力に異変が起きていた。気付いたのは食料が消え、買い物に行こうと考え彼女にスーパーまで移動出来る穴を作ってもらおうとした時だ。穴の先に広がっていたのは火山の火口。とてもじゃないがなんでも売ってるスーパーとはあまりにも掛け離れていたので優闇は数秒ばかり思考が止まったという。
そんな理由から彼は徒歩で買い物に出掛けている。彼自身も能力者であり空を飛ぶ事は出来るがそうはしなかった。何故ならその方法が所謂翼を生やして飛翔する事なので、見る人によっては恐怖を感じるであろうと考えた彼なりの配慮だった。1人なのは彼女達には今くらいは家でのんびりしていてもらいたいというちょっとした思いと、願わくば食料が消えた原因を突き止められればと考えたからであった。
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