第1章

2/9
前へ
/9ページ
次へ
どこにでもいるような。 そんな中学二年生になりたかった。 普通に学校で友達ができて、普通に家で家族と話ができる。 そんな中学生になりたかった。 もう、無理だけど。 授業中。 ノートにシャープペンを走らせる音。 時々、色のついたボールペンで線を引いて、ここは重要だと示す。 教室は変わらない。 でも、私は変わりたい。 変わりたいのに、変われない。 いつも独り。 教室には溶け込めていない。 夏の暑さになら、溶け込めるはずなのに。 教室では、私は浮いている。 人と上手く接することができなかった。 私、永島 時子(ながしまときこ)は、根暗な中学二年生。 髪を二つに縛り、大きな黒縁眼鏡をかけている。 中学一年の春、友達作りに積極的でなかった私は、そのまま一人行動を貫き、本当に独りになってしまった。 小学生の時は何人か友達がいたのに、中学生になってから途端に人と接することにぎこちなさを感じて。 私の家が破綻すればするほど、他人との距離感が掴めなくなっていった。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加