もう、誰も好きにならない。

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 「別にいいんだって。どうしても参加したいってワケじゃないし。私がいない方がみんなが楽しめるなら、その方がいいと思うし。私だって、こんなシカトされてる状態で文化祭なんかとても楽しめないし。これでいいの。だから、二宮くんの優しさはちょっとお節介かも。…でも、アリガトネ。気付いてくれて」  数少ない二宮くんとの会話の内容が、こんな悲しい話題というのが、何とも切ない。  「冴木、文化祭来ないつもり?」  二宮くんが、可哀想なコでも見る様な淋しげな目で私を見た。  「行くよ。二宮くんがミニ履いてる姿見たいし、二宮弟のクラスも覗いてみたいし」  「弟のクラスにも行くんだ」  「ヤリマンだからね」  二宮くんの口から言われる前に、自ら言ってしまう。  二宮弟のクラスに行っても行かなくても、どうせ私は二宮くんに嫌われたままなのだから。  「……」  二宮くんは、肯定も否定もせず、無言で私の傍を離れ、メイド服の採寸をしに行ってしまった。
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