巨人の春。

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 -----------推薦入試を翌日に控えたお昼休み。  今日も大志くんと視聴覚室にてお弁当。  「ハイ、小春ちゃん」  大志くんに、小さな白い紙袋を渡された。  中には、赤くて可愛い『合格祈願』の御守りが入っていた。  「ありがとう!! 明日、がんばるね!!」  正直ソワソワしていた。  担任には『心配ない』と言われていたが、やっぱり緊張する。  でも、明日はこの御守りを握り締めて頑張ろう。  「香川さんの分も買ったんだけど、小春ちゃん、渡してくれる? 香川さん、全然視聴覚室来なくなっちゃったから。つか、香川さんってどこの大学を狙ってんの?」  大志くんが『香川さんは青ねー』と言いながら、私のお弁当の横に御守りを置いた。  私からじゃなくて、買った本人から手渡された方が喜ぶだろうに、大志くんにその気はないらしい。  「この前香川くんに『志望大学どこ?』って聞いたら、『落ちたら恥ずかしいから言わない。金輪際聞かないで』って言われてさー」  香川くんは、行きたい大学を教えてくれなかった。  口止めされているのか、本当に知らな いのか分からないが、繭に聞いても教えてもらえなかった。  香川くんが目指す大学はどこなんだろう。  県外かな。遠いところなのかな。もう、会えなくなるのかな。  「…ふーん」  大志くんはさほど気にならない様で、その後アッサリ話題を変えて、元気良くお弁当を食べた。
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