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「女の子じゃないですよ。こんなにデカイ子どもなんかいませんよ。私の背中に色気なんかないし、別に見られてもいいですよ。香川くん、次の授業サボりたいらしいし」
笑いながら、自らTシャツを捲り上げてやった。
私はいつから『女の子』じゃなくなってしまったのだろう。
『女を捨てる』ってよく聞くけれど、私は捨てるものが無い。
私が『女の子』だった時期なんて、あっただろうか。
「…バラすなや、小泉」
香川くんが険しい顔で笑った。
先生も、香川くんと同じ様な笑顔を作りながら、そっと私の背中に湿布を貼り付けてくれた。
「…アレ? 湿布、1枚しかなかったかな?」
先生が、もう1枚貼ろうと袋の中を探るも、入っていない様子。
…こんなにデカイ湿布、1枚で足りないなんて…。
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