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「ハイ、おしまい」
男の子は冷えピタを貼り終わると、Tシャツを下ろしてくれて、その上からそっと撫でてくれた。
何でだろう。香川くんに擦ってもらった時は『巨人の私なんかに申し訳ないな』と思うのに、この男の子だと素直に有難いなって思う。
しかし、今日はなんか嬉しい日だ。
巨人の私が、家族以外の人にこんなに心配してもらった事なんて、いつぶりだろう。
「ねぇ。小泉先輩って、身長何センチ? 下の名前って何ていうの?」
小柄な男の子が、私よりひとまわり小さな手で、私の背中を撫で続ける。
てか、名前より身長の方が気になるんだな、先に聞くって事は。
まぁ、いいけどさ。
「182センチの小泉小春です。名前に『小』が2コも入ってるって笑えるでしょ。苗字は仕方ないにしても、名前はもっと空気読んで付けるべきだったと思うよ、ウチの親」
昔から『巨人のくせに小春』と散々言われてきた為、いつからか自分から話のネタにするようになった。
他人に言われるより、自分の口から言った方が傷が浅くて済む。
…まぁ、もう言われ慣れてるから、免疫出来てるけど。
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