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「私は、香川くんが繭を好きになった理由、分かる気がするけどな」
さっきまで相槌を打つだけだった小春が話し出した。
「え?」
小春に視線を向けると、小春がにっこり笑った。
「繭、外見も勿論可愛いけど、好きな食べ物も好きな洋服も、全部可愛いもん。女の子女の子してて。何をやっても可愛い。どこから見ても、どの角度からでも可愛くて。何もかもが可愛くて。…私さ、自分に無いものを全部持ってる繭が羨ましくて、繭を見ながら『私が繭だったら…』って妄想しながら楽しんでる事ある」
「危なッ!! 淋しッ!! 怖ッ!! この話、誰かにした?」
小春の突然の変態発言に、大志が軽く引いている。
「イヤ、してない」
「ヨカッタ。他の人には絶対しない方がいいよ。キモがられるから。…とか言いながら、俺も小春ちゃんの気持ち分かるわ。俺も『もし俺が香川さんだったら…』って妄想してニヤニヤした事あるし」
ここにも1人変態が いた。
大志が言った事は、嬉しいけれどやっぱりほんのりキモイ。
2人の変態発言は置いておいて。
小春の言う様に、俺は『外見だけじゃなく、中身も可愛い繭』を好きになったのだろうか。
でも、時折繭が見せる小春への態度が、可愛いと思えない。
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