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自力で動けず寝そべっていると、
「小春!! 大丈夫か!? 小春!!」
何故か香川くんの声が聞こえて来て、
「持ち上げるぞ、小春」
ふいに自分の身体が浮いた。
香川くんが私を抱え上げてくれたらしい。
ダラリと力なく垂れ下がる私の腕を、香川くんが自分の首に巻き付けた。
…これが俗に言う『お姫様抱っこ』というヤツか。私、されたの初めてだ。
そんな、巨人を運ぼうとしてくれている紳士な香川くんに、
『繭の彼氏は、繭の友達にも優しいんだね。イケメンー』
『あんなおっきい小春を軽々持ち上げたよ、男らしい』
と、女子たちが沸き立ち、香川くん株が急上昇した。
そして、香川くん株の筆頭株主の繭が、香川くんに心配そうな声を掛けた。
「大丈夫? 1人で運べる? ゴメンネ。女子じゃ運んであげられなくて…」
『小春、大きいから』という事だろう。
事実だから仕方ないのだけど、やっぱり傷つく。
なんで私は、こんなに大きいのだろう。
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