横たわる巨人。

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 「誰かと一緒にだったら小春くらい運べるだろ。身長はデカくても、小春、軽いから」  香川くんは、繭に冷たく言うと『今、保健室に連れてってやるから』と私に囁き、歩き出した。  香川くん、なんで繭にあんな態度を取ったのだろう。  目が開かないから繭の表情は見えなかったけど、きっと悲しい思いをしただろう。  私が倒れたばっかりに…繭、ゴメン。  香川くんもごめんなさい。  『小春、軽いから』と言ってくれたけど、私はしっかり57kgある。  身長からしたら痩せ型だけど、普通の女のコの体重よりはやっぱり重いだろう。  57kgの肉の塊を、グラウンドから保健室に運ぶのは、どう考えても重労働だ。  もう2度と倒れたりなんかしない。  巨人が倒れるという事は、普通の人の倍、周りに迷惑がかかってしまうという事だから。
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