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優しい香川くんは、私を運びながら『もう少しで保健室に着くから辛抱して、小春』と声を掛けてくれた。
何を辛抱しろと言うのだろう。
普通に考えて、辛抱するのは私ではなく、重たい私を運んでいる香川くんの方だ。
いたたまれない思いをしていると、パタパタと私たちの方に駆け寄る足音が聞こえた。
「小春ちゃん、大丈夫!?」
大志くんの声が聞こえた。
なんで大志くんの声がするのだろう。
「大志、授業中だろ? どうした?」
香川くんも大志くんがいる事に疑問を感じ、問いかける。
「俺の席、窓側なんですよ。教室の窓からグラウンド眺めてたら、小春ちゃんが倒れたのが見えたから」
大志くんは、私を心配して授業を抜け出してくれたらしい。
大志くん、授業サボってる場合じゃないくらい成績悪いのに。
でも、ちょっと嬉しい。
そして、大志くんもごめんなさい。
やっぱり申し訳ない。
何やってるんだろ、私。
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