巨人の未来。

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 弁当を食べ終え、小春と一緒に教室に戻る。  席に着くと、繭に『ねぇねぇ』と話し掛けられた。  「比呂はもう志望大学決まってるんだよね? 小春は? どこ狙ってるの? なりたい職業とかあるの?」  ウチのクラスの進路面談は席順で、今日は俺⇒俺の隣の席の繭⇒繭の前の席の小春の順番で行う。  俺は数学教師を目指して教育学部に行く予定。繭は服飾専門学校。小春は?  「……私はまだ…」  『どうしよう』と溜息混じりに俯く小春。  オイオイオイオイ。さすがにマズイだろ。  小春の成績ならどこにでも推薦で行けるだろうけど、未だに決まってないって遅すぎだろ。  「じゃあ、福祉関係は? 介護とかさ。お年寄りを抱きかかえたりするの、小春の体格を活かせるんじゃない?」  繭が小春に提案した福祉の仕事は、立派だし尊敬すべき職業だと思う。   でも、『小春の体格を活かして』。  小春は身長が高いだけで痩せっぽっちだ。  繭にそんなつもりはないのかもしれないが、小春の身長をバカにしているように聞こえてしまう。なのに、  「…うん。いいかも。福祉系の大学、今日相談してみるよ」  小春は繭の提案に乗った。  小春がいいならそれでいいと思うけど、春は本当に福祉をやりたいと思っているのだろうか。
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