巨人の未来。

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 「でも、大志だって小春がそんな理由で夢を諦めるのは違うと思うだろ? 大志は小春の気持ち、俺よりずっと分かってるじゃん。説得しろよ。俺じゃ無理だ」  俺じゃ、小春の気持ちは動かせない。大志しかいない。  「小春ちゃんの気持ちが分かるから、俺には無理なんですよ」  大志が俯きながら左右に首を振った。  「どういう事?」  「小春ちゃんが夢を諦めるくらい傷ついた事を知ってるのに、簡単に『それでも頑張れ』なんて言えない。小春ちゃんと似た様な立場なのに、何かを頑張って何かを乗り越えた事もない俺が、小春ちゃんに何か言ったところで、説得力なんかないでしょ」  大志が小さい溜息を吐いた。  大志は何でこんなにも、他人の気持ちが分かるのだろう。めっさ頭悪いのに。
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