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「だから、香川さんが説得しなきゃダメなんですよ」
大志が俺に視線を合わせた。
「小春ちゃんの気持ち、何にも分からない香川さんが、小春ちゃんの心にズカズカ踏み込まなきゃダメなんですよ」
そして、ズイっと俺に顔を寄せる大志。
大志の言いたい事は分かるけど…何、この馬鹿にされてる感。
「時には香川さんみたいな無神経さも必要です!!」
大志、熱弁。
コイツ、俺の事をハッキリと『無神経』って言いやがった。
確かに無神経な節はあるけれども!!
「お前、言い方!! 出世できねーぞ、大志!!」
大志の頭を軽く叩き、立ち上がった。
もう小春に面談の順番が回ってきてしまっているだろうか。
進路指導室へ急ごうと思ったが、ふと立ち止まる。
「大志、コレを俺にさせたくて、俺の事を待ってたんだろ」
「チョロいッスね、香川先輩♪」
大志がしたり顔で笑った。
頭の悪い後輩に使われる俺。
ダサすぎる。でもまぁ、いっか。大志、すげぇいい奴だから。
「ちょっと、行ってくるわ」
やっぱり生意気な大志が鼻につく為、大志のほっぺを摘まんで引っ張ると、
「いってらっさーい」
輪郭の形を崩した大志が、ひらひらと手を振った。
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