彼女のトモダチの巨人。

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 バスケは俺のチームの圧勝だった。  授業が終わり、ボールを片している時、  「小泉って、ボール片手で持てたりする?」  1人の男子が『当然出来るよな、デカイんだから』的なテンションで小泉に話かけた。  小泉は、手もデカイが薄っぺらくて指も細い。  多分、無理。でも、  「今、手汗かいてるから無理」  小泉は、出来ない事を手汗のせいにした。  素直に『出来ない』と返事をしたら、『巨人のくせに』等と言われるのが分かっていたのだろう。それなのに、  「じゃあさ、ボール両手で何個まで抱えて持ち運べる?」  その男の、小泉を女とも思っていない無礼な発言は続いた。  「…んー。やってみる」  律儀に答える小泉。  小泉が、その長い腕でボールを6個抱え込んだ。  でも、小泉の細い腕で6個を持ち上げるのは至難の技だ。  小泉が、腕を震わせながら何とかボールを持ち上げ、ゆっくり体育倉庫に運ぶ。  そんな小泉を見て、『さすが巨人』とみんな嘲った。  …何嘲ってんだよ。  体育倉庫で、傷ついた小泉が泣いている様な気がした。
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