進む私と、戻れない君

7/7
前へ
/14ページ
次へ
「5」 シトシトと雨が降る 雨が降る 雨はただ地面を潤すけど、濡れただけの大地にはきっとならない 君がそこにいてくれるから 「雨だね」 ×××(君の名前)が言う 目を閉じて思い返す ×××(君の名前)は雨が好きだった 私も雨が好きで、雨にも意味を付けようって、どちらともなく言った その時のことを、私はよく覚えてる ーーーーー 「雨蛙が鳴いてる」 「雨が降ってるから」 「雨蛙の意味は確か……」 「哲学だよ」 「そうだったね……もっと、聞いていたいな」 「……そうだね」 ーーーーー 私は雨を降らし続ける 君の見続けるものが三日月なら、「君」達の分まで月を満たしていくのが私の役目 だから、 君が三日月でいられるなら、私はきっと頑張れる だから…… それは、雨のやまない昼過ぎの頃のこと 君とのサヨナラまで、あと少し
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加