進む私と、戻れない君

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「3」 庭先に立つと、君は縁側で日向ぼっこをしてた 暖かくてゆったりしてて、とても気持ち良さそうだ そんな顔を見てたら、私まで亀になりそうだなと思った でも、私はそれを望めない ねえ、知ってる? 君に言ってないことがね、あるんだよ? 私の言う、「赤」のもう一つの意味 「悲しいの?」 私の質問に答えながら、君は首を傾げた そう、赤いからこそ悲しいの そうしないといけなくなったから これは、君と私の共通点 ………… 「帽子で隠してもね、いつかは脱がなきゃいけないの。私は赤いから」 「赤ずきんちゃんも、僕も赤いよ? 皆、赤いんだよ? どうしてそんなに悲しむの?」 「……×××(君の名前)も、赤ずきんちゃんみたいだよね。……ううん、違う。皆、違う」 ………… それは、刺すような陽射しが降り注ぐ頃のこと あなたは今日も、暖かく過ごせましたか?
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