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「1」
三日月が光り輝く夜のこと
その時も周囲ではヒキガエルの合唱が響き渡り、まるで、今が夏だと錯覚させられるようだった
そんなおかしな感覚に蝕まれながらも、三日月は必ず僕の視界に収まっていた
思う、あんなにも月が見えないのは何故なのか、と
「ねえ、聞いていい?」
僕は問いかける
暗くて何も見えないけど、間違いなくそこに女の子が居ると知っているから
その女の子が、僕を味方してくれていると知っているから
だから、安心して声をかけられた
「どうして月は欠けてしまうの?」
いつもその月は欠けていて、満ち満ちている姿を拝んだことがない
それが何故なのか、僕にはわからなかった
だからたずねた
何も見えない夜の先から、答えが返ってくるのを待つ
女の子は言った、こう答えた
「ここにいるヒキガエルが誰かを、×××(僕の名前)は覚えていたいの?」
…………
「…そっか、だから欠けて、見えなくなるんだね」
「そうだよ、だから×××(僕の名前)には、輝いて見えるんだよ」
「なら僕は、このまま月の輝きを見ていよう」
「そう。でも、お月見をするにはまだ早いんじゃない?」
…………
男の子と女の子だけがわかる言葉遊び
もしお月見をするのなら、あなたはいつがいいですか?
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