1人が本棚に入れています
本棚に追加
「6」
暮れなずむ頃に雨はあがろうとしていた
そしてそれは、唐突だった
女の子の言っていたヒキガエル達は、数で僕達を囲っていた
「ーーーーーーーーーー」
ヒキガエル達が何を言っているのか、僕にはわからない
たくさん聞こえるその声は、今を夏だと錯覚させてしまいそうだ
でも、その言葉は間違いなく耳に届き
その意味もまた、僕の奥底に届いていた
ああ、そうか
女の子が言っていた意味がやっとわかった
確かに、赤を被って強かに生きられる赤ずきんを不思議に思うよね
でも……それは……
…………
それでも僕は、聞き続けることしかできなかった
赤を被る必要が僕にはあったから
…………
気がつけば、雨蛙はどこかへ消えていた
欠ける月で、今日も赤く染めた
最初のコメントを投稿しよう!