47.隠れ聞いた秘め事 

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「あの……どうしてこんなことするんですか?」 問いかけた花桜の言葉に斎藤さんは、 すぐに言葉を続けた。 「友を思う心があればこそ」 友を想う心。 そうだ……試衛館がキーワード。 仲間であって家来じゃない。 友であって家臣じゃない。 「信じていいんですか?」 真っ直ぐに斎藤さんを見据えて告げる問いかけ。 「無論だ」 そうやって、この一件の全てを斎藤さんに託すことになった私たち。 数日後、正装姿で会津公に目通りした六名の隊士たちは 建白書を提出。 その後、史実通りに近藤さんが呼び出されたものの、 会津公の仲介で無事に和解することとなった。 永倉さんたちの建白書提出。 非行五箇条の一件を後で知った近藤さんラブの総司は 面白くなかったらしく、その憂さを隊士相手に鬼すぎる訓練で晴らすこととなる。 総司の練習相手にと巻き込まれた隊士たちはある意味可哀想だったきもするけど、 それでも剣がふるえて稽古がつけられる程度に元気で居てくれる総司に安堵する私も居る。 だけど……一つ一つ、史実に連なる事件は忍び寄ってくる。 水面下の平和を崩れ落とすように。 隠れ聞いた秘め事は、友を思うから。 だけど不協和音に感じるのは、この先の黒い歴史を知っているから。 花桜にとって試練の時は近づいてる。
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