48.再会の日 

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「雅姉さま。  そうです、舞です」 ちゃんとわかって貰えたのが嬉しくて、 私は慌てて雅姉さまの方へと抱き付いた。 戸惑うように抱きとめた雅姉さまの手が、 私の髪にら触れ、私の顔に触れる。 雅姉さまの両手で頬を挟まれるように ジーっと見つめられると、遠い昔を思い出して懐かしすぎて、 涙零れ落ちた。 「舞ちゃん、お帰り。  さぁ、家の中へ」 雅姉さまに促されるままにお風呂を貰って、 ご飯を貰ってゆっくりと過ごす晋兄の自宅。 だけど家中、何処を探しても晋兄の姿はなかった。 「雅姉さま、あっ……あの晋兄は?」 そう言うと、雅姉さまは「晋作は家に居ないわ。今は長州藩のお尋ね者だもの」っと寂しそうに呟いた。 「ごめん。雅姉さま……」 「いいわよ。  舞ちゃんは気にしなくて。  晋作に会いに来たのね。  昔から舞ちゃんは晋作が大好きだった。  舞ちゃんが長州を旅立った後にね、あの人、帰って来たのよ。  ふらふらっと。  家族で生活できると思ったけど脱藩の罪に問われて投獄。  相変わらずよね」 雅姉さまは私が知らない晋兄の身に起きた出来事を ゆっくりと語ってくれた。 「そうそう、晋作から手紙が来てたのよ。  舞ちゃんだったらいいわ。  持ってきてあげる」 そう言って雅姉さまは、私が休ませて貰ってる客間から姿を消す。 遠さがった足音を聞きながら私はその場から立ち上がって、 あてがわれた部屋を散策する。 遠い昔も、遊びに来てお泊りの日は この部屋で寝させてもらった。 広い部屋に一人で寝るのが怖くて、 晋兄の着物をギュっと握りしめたら 晋兄は、私の髪をワシャワシャと撫でて そのまま私が眠るまで添い寝してくれた。
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