48.再会の日 

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「遅くなりました」 そう言って、姿を見せると 雅姉さまが、柔らかい笑みを浮かべた。 「似合うわ。  結婚して間がない頃だったかしら?  江戸土産にあの人から貰った着物なの。  舞ちゃん、さっ、そこに座って」 雅姉さまに促されるままに座って、 食事を進める。 広間には、雅姉さまが一人で育てている 晋兄の子供がご飯を静かに食べてた。 「ごちそうさまでした」 綺麗に食べ終わった食器を炊事場へと運んで、 懐かしい井戸から水を汲んで洗う。 食器洗いと、洗濯の手伝いをした後、 剣の稽古をしていた子供たちと一緒に少しの間練習して 私は晋兄の家を後にした。 萩から下関へ。 再び、歩いて辿りついた先で出会った おうのさん。 その人のところにも晋兄は居なかった。 「もう、晋兄のバカっ!!  いったい、何処にいるの。  あったら絶対に、一発いれる」 なんて大声張り上げたら、 おうのさんは、大笑い。 そして……今度は、 おうのさんからの情報で再び西へ。 最後に辿りついたのは福岡の山奥。 下関で、晋兄はお妾さんのところにずっと居たけど 雲行きが怪しくなったからと、 福岡の別の女の人の方へと移動したと。 次から次へと女のところを転々として。 そう思うと、ムカっとする気持ちもあるけど それもまた晋兄の生き方だって思ってる部分もある。 義兄にも愛人が居たんだもん。 晋兄だって……雅姉さまには悪いけど いても仕方ないと思ってた。 でも……三人目ってどういう事よ。
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