48.再会の日 

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誰も居ない山奥。 細い道を歩きながら、 まだ見ぬ三人目の女の人を想像する。 雅姉さまは、小さい時から知ってる、 可愛らしい感じの姉様。 下関の妾は、 おっとりした感じだった。 次はどんな人? 考えれば考えるほど もやっとする部分も膨れるわけで……。 「もうっ!!  節操なし」 山奥に木霊する私の声。 不意に懐かしい声が私の聴覚を刺激する。 「舞、久々の再会の最初の言葉が  節操なしとは、そうかそうか」 木の枝に着流し姿で腰かけていた 晋兄が、私の前へとヒョイと降りてくる。 「おっ、色白だけのちっちゃえ奴が  しっかりしてきたようだな」 そう言って私を覗きこむ 「もう、この晋兄っ!!」 次の瞬間、避けてくれて空を走ると思い込んでいた平手は 晋兄の頬をバシーンっと打ち付ける。 痛む私の掌と同時に、 心も痛くなるのは……どうして? 「おいっ、何て顔してる?  気が済んだろ。  京都でお前を大木に括りつけてきたからな。  その罪は潔く見とめておかねぇとな」 そう言うと、晋兄は私が打ち付けた 頬を片手で摩りながら、私の手をゆっくりと掴み取る。 重なる掌からつたわる体温。 晋兄と掌を重ねながら ゆっくりと進む先に姿を見せた山荘。 「此処だ。  おい、今帰った」 そう言うと晋兄は、住み慣れた家のように 中へと入っていく。 そこから出て来た人は、 晋兄の愛人と言った雰囲気ではなかった。
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