49.山南さんと過ごす時間 

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「土方さんは、山南さん明里さんと  言う好きな人がいることは知ってますか?」 「あぁ、そう言う話は耳に入るのが早い。  別に、どこの女と一緒に居ようが俺には関係ない」 「明里さんと山南さんの最初で最後の第一子が、  私の最初のご先祖様なんです。  そして武術を嗜む道場を受け継いで継承した物が  家宝の沖影。   沖影は山南さんの愛刀の兄弟剣だと伝えられています。  私はお祖父ちゃんから家の家宝である沖影を譲り受け、  その日にこの幕末の世界に来ることになった」 そう……そしてその頃、良く見ていた 白装束の人の夢。 それを最近、良く見るようになってるのも確かで。 そんな夢が引き金となって不安は募っていく。 「そう言う話だったのか。  山南さんは、優しいだろう。  あの人からいっぱい、学べるものを学べ。  学識も、精神面も高い」 「はいっ。  山南さんと過ごす時間が増えて私も昔に比べて、  少しずつ成長できてる気がします」 「まぁな。  屯所に来た当初は、弱っちぃ役立たずだったが  最近は多少はマシな顔してやがる。  そんな山波に任務を与える」 急に『任務』と言う言葉にピクリと体に緊張が走る。 「山南さんが見えねぇ。  あの人の心が何処にあるのか、山波花桜。  偵察して、報告しろ」 山南さんの心? そう言われても私も見えてない。 「山波、返事をしねぇか?」 荒げられた声に、慌てて「わかりました」と 反射的に声を返した。
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