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「有難うございました。
でも……びっくりしました。
腕、全く動かないとばかり思っていましたから」
「多少は動きますよ。
山波君の練習相手程度には、ですが神経が傷ついて、
痺れが残るこの手では実戦で振るうことは無理でしょう」
無理でしょうと言いながら、
山南さんの表情はやっぱり曇ってる。
無理なのだと、そう思い込ませようと言い聞かせているみたいに。
木刀を壁に立てかけて、
負傷した山南さんの腕に自らの両手を触れる。
そしてゆっくりと、
思うように山南さんの腕をマッサージしていく。
最初は戸惑っていた山南さんも、
私の指先の不思議な動きを食い入るように見つめる。
リンパの筋にしたがって、ゆっくりと滑らす指先。
指先を摘まんで刺激して、ぐるぐると優しくまわす。
手首から上へと、ゆっくりと指を滑らせていく。
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