49.山南さんと過ごす時間 

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「有難うございました。  でも……びっくりしました。  腕、全く動かないとばかり思っていましたから」 「多少は動きますよ。  山波君の練習相手程度には、ですが神経が傷ついて、  痺れが残るこの手では実戦で振るうことは無理でしょう」 無理でしょうと言いながら、 山南さんの表情はやっぱり曇ってる。 無理なのだと、そう思い込ませようと言い聞かせているみたいに。 木刀を壁に立てかけて、 負傷した山南さんの腕に自らの両手を触れる。 そしてゆっくりと、 思うように山南さんの腕をマッサージしていく。  最初は戸惑っていた山南さんも、 私の指先の不思議な動きを食い入るように見つめる。 リンパの筋にしたがって、ゆっくりと滑らす指先。 指先を摘まんで刺激して、ぐるぐると優しくまわす。 手首から上へと、ゆっくりと指を滑らせていく。
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