49.山南さんと過ごす時間 

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「山南さん。    いつも二つなのに、  今日はどうして三つもですか?」 「あぁ、もう一つは総司の為ですよ」 「沖田さん?」 「彼も異変が続いていますから」 突然の言葉に、驚きの色が隠せない。 「異変?」 「でも瑠花が、この間病院に言った時、  沖田さん、異常なしって言われたって言ってましたよ」 「異常なし。  総司が告げたのなら、異常はないのでしょう」 「だって、今、山南さん……」 「私には、そう思えただけですよ。  ですから、これは私が総司に出来る気遣い」 なんだかうまく逃げられたような感覚になったけど、 山南さんはそう言うと、明里さんの待つ長屋へと入っていった。 その後は、三人で過ごす楽しい時間。 山南さんは、そのまま明里さんのところで 夜を共にすることになり、外泊許可のない私は夕刻、 晩御飯を作る時間帯にあわせて屯所へと戻る。 どんな形でもいい。 山南さんと過ごす時間を自分の中に刻み込んで、 間接的にでも、お祖父ちゃんに山南さんの温もりを伝えたい その一心で、私は今日もこの世界を必死に歩き続けてた。  
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