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充電がなくなった携帯を握りしめながら
心の中、舞を思う。
……舞……今頃何してる?
私は……いつも通り、
京で精一杯生きてるよ。
「瑠花、それは?」
総司が刀の手入れをしながら問いかける。
「遠い未来の文明の利器。
携帯電話って言って、長州にいる舞と簡単に連絡がつけられる
そんな機械だよ」
「だったら……その機械とやらがあれば関東を旅してる、
近藤さんの声も聞けるのですか?」
総司が目を輝かせるように刀を手入れする手を止めて
近づいてくる。
「この世界で使えればね。
だけど電池が切れた今は意味のないアイテムかな。
だけど……なんか、懐かしくて」
「舞さんがここを離れて二月以上経ちますからね」
「うん……」
総司の言葉に思わず真っ青な空を見上げる。
建白書事件の後、近藤さんは隊士募集に屯所を留守にした。
花桜は何時も山南さんと一緒に居ることが多くなった。
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