72人が本棚に入れています
本棚に追加
そして私は……こうやって、総司の傍に座って
一人の時間はボーっといろんなことを考える。
考えることは私の未来の記憶。
これから起こる出来事。
私がそろそろ気になってきてるのは、
次なる新選組の台風、伊東甲子太郎。
確か近藤さんが、関東に出掛けた後に一緒に帰ってくるんだ。
そして翌年の二月には山南さんが旅立っちゃう。
そんな史実の出来事に心の中は穏やかじゃない。
山南さんの死が避けられるものなら、
花桜の為に、避けたい。
だけど……その死が変えることのない運命ならば
私は……。
「瑠花、どうかしましたか?
少し怖い顔をしています」
総司が心配そうに覗きこむ。
「ううん、大丈夫。
少し未来の事を思い出してたの」
「未来の事……。
瑠花が語りたい、その話を僕が一緒に話し合うことが出来れば
どれだけいいでしょうか?
だけど僕には、未来のことだけでなく今のことすらわかっていない。
僕たちは……何処に向かおうとしているのでしょうね」
*
僕たちは
何処に向かおうとしてるのでしょうね。
*
そうやって呟いた総司の声がやけに耳に残った。
「総司、少し出掛けて来るね」
「供は必要ですか?」
「屯所内だから。
気になることがあるから、
山南さんところに行ってくる」
「山南さん……先日、見かけた時も少し思いつめた顔をしていました」
総司はそう言って黙り込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!