50.東からの新隊士 

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ダメなの? そんな不安が過ったのと彼が話し始めたのが同じ頃。 「花桜君は良い友達を持ちましたね。  岩倉君、私にとっても彼らがそうなのですよ。  岩倉君のお気持ちだけ確かに頂くことにします」 えっ? 山南さんもその運命を受け入れるって事? 真実がどちらが正しいかなんてわかんないけど、 こうして、また身近になった新選組の人たちを何も出来ずに失ってしまうの? 「さっ、近藤さんが帰ってくるんですよね。  総司が喜んでいるでしょう。  貴女は彼のところへ。  アナタはここに来てはいけません」 そうやって静かに告げた山南さんは再び書物へと視線を映した。 読書に集中しはじめた彼の邪魔をすることは出来なくて そのまま私は黙って一礼すると部屋を後にする。 どうしようも出来ない? 私がダメなら、花桜から。 そんな思いで山南さんの部屋を後にして 花桜を探して庭へと向かった時、 満面の笑みで総司が私の方へと近づいてくる。 「瑠花、近藤さんが帰ってきました。  待ちきれなくて、途中まで迎えに行っちゃいました」 そんなテンションの高い総司とは裏腹に、 私は回避できない現実に心が荒れていく。 その夜、新隊士として新選組に入隊した伊東甲子太郎たちは、 屯所内の隊士たちに近藤さんによって紹介された。 新編成となる、新選組の役員組織図と共に。 局長:近藤勇 副長:土方歳三 組頭: 一番隊・沖田総司。 二番隊・伊東甲子太郎。 三番隊・井上源三郎。 四番隊・斎藤一。 五番隊・尾形俊太郎。 六番隊・武田観柳斎。 七番隊・松原忠司。 八番隊・谷三十郎。 小荷駄雑具方・原田左之助。 役職図から消えてしまった山南さんの名前。
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