47.隠れ聞いた秘め事 

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「家事、終わり。  後は、晩御飯だけだからそれまではゆっくりと話せる」 そう言うと、背中に隠していたお団子と一緒に お茶をお盆にのせて自室へと戻った。 「あっ、このお団子ね。  お茶持って行ったときに近藤さんの部屋で貰ったんだ。  岩倉君と食べなさいってさ」 そう言うと花桜はお団子を手に取ってパクリと口に入れる。 近藤さんか……。 これから大変な事件が起こるかも知れないなんて思いもしないで、 こうやって和菓子を買ってくれたんだなーっとか思ってしまう。 近藤さんがくれたお団子は上品な甘さの餡子が乗っかっていて美味しかった。 「さっ、腹ごしらえも終わり。  聞かせてよ。  その思い出したって話」 花桜は一気に湯呑に入ったお茶を飲み干すと改まったように正座をして私の方に体を向けた。 「花桜、非行五箇条って知ってる?」 「何?  非行五箇条って。  非行って事は悪いことしてるわけで……悪いこと……」 そう言って花桜は少し考え事をするように俯く。 「近藤さんと土方さんの……って事はあれ?  芹沢さんの粛清……っとか?」 粛清っと言う言葉を発する時、花桜の中で私を気遣うような 戸惑いの表情を見せながら最後まで紡ぐ。  「花桜、鴨ちゃんの事は気にしなくていい。  鴨ちゃんは今も、お梅さんとここに居るもの。  私の心の中に生きてるから。  花桜が察したとおりだよ。  後は給金の問題とか。  壬生浪士組を結成して、新選組を拝命して  その新選組を守るために、土方さんと近藤さんが  その中心にたって物事を決めてる。  大きくなる組を維持するには決まり事も大切だけど、  ほらっ外には口外出来ない黒の事件もあるから。  そんな内部事情を建白書に託して、会津様に暴露して  近藤さんと土方さんを窘めて貰おう。  要約するとそんな事件。  それの中心人物が、永倉さんだったはずなの」 「会津様に建白書って。  でも建白書って、やばくない?  史実ではどうなるの?  近藤さんと、土方さん、会津さまの雷が落ちて大変になるの?」
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