47.隠れ聞いた秘め事 

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気になるのは結末なんだよね。 だけど真実はわからない。 「花桜、結末って言うか言い伝えられてるものが複数あって、  どれが本当に起きたことなのかわからないの。  非行五箇条に関わるのは、  永倉さん、原田さん、斎藤さん、島田さん、尾関さん、葛山さん。  六人って言うのは確かなんだけど葛山さんを巻き込んだのは、  ここに名前は連なってないけど山南さんって言う説もある」 山南さんの名前を出し途端に花桜は表情は曇る。 永倉新八。 原田左之助。 斎藤一。 島田魁。 尾関政一郎。 葛山武八郎。 多く集まると期待した建白書に連ねる名前も 実際に集まったのは六名。 そして斎藤さんの立ち位置は謎のまま。 土方さんたちの密偵的な扱いと言われたり、 会津さまの隠密と言われたり。 だけど……これからこの出来事が起きようとしてるなら、 私たちはどう動けばいいんだろう。 「ねぇ、瑠花。  私、夜にひそひそ話してた部屋に忍び込んで探ってみる。  だってさ、建白書なんだったら書き記したものがあるわけで、  それが無くなれば、この事件はクリアしない?  山南さんが……ご先祖様が関わってるかも知れない事件なんて  マズイよ」 花桜は突拍子もないことを発言してるにも関わらず、 ちょっと得意げで、私も驚きを隠せない。 「花桜だけに任せられないよ。  私も行くから」 そう告げながら花桜の決めた選択を少しでも正当化しようと 自分の心に暗示をかける。 史実を狂わせてはいけない。 だけど非行五箇条は事件が起きても、会津さまが仲介してくれて 円満に解決するはず。 解決すると言うことは誰かが死ぬ歴史ではないわけだから。 あっ、違った。 葛山さん。 葛山さんが切腹になってる? 建白書を書いた本人だからって 土方さんが切腹させてたような気もする。 だけど阻止できるなら?
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