47.隠れ聞いた秘め事 

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交錯する想い。 だけどそれらを必死に暗示で「正当化」を試みる。 総司のことで歴史を変えれるものなら変えたいって思ってる。  だからこそ、変えれるのだと言う決定打も 自分の安心の為に欲しいのかもしれない。 「さっ、だったら忍び込むのは夜。  今日の巡察って何処だったけ?  晩御飯の時に広間で確認しなきゃ」 そう言うと花桜は、すでに思考を切り替えたのは さっきまでの非行五箇条の話題を忘れてしまったように 何も触れなくなって、炊事場へと移動する。 その後もいつもと変わらない晩御飯の準備、 食事の時間、そして後片付けと日常は続いたけど それらに集中することは私は出来なかった。 夜中、真っ暗な中で花桜が部屋に訪ねてくる。 今日の巡察は永倉さんたち。 原田さんは出掛けるって、言ってた。 そして総司も巡察。 静まり返った屋敷の中、音を立てずに、 その花桜が内緒話を聞いた部屋へと忍び込む。 忍び込んだ先で手さぐりで建白書らしきものを探していく。  ライターやマッチがあって火がつけやすいなら、 灯りもつけやすいのに生憎そんな便利なものはないから。 この場で火打ち石で、火を起こすなんてことも音を立てるから 無理なわけで。 せめてと電波が入らなくなったからと電源を落としていた 携帯電話の起動ボタンを押すものの光を発してくれる様子もなかった。 「ねぇ、瑠花。  これって……触ってみて。  丸まってるでしょ。  建白書みたいな感じがしない?」 そう言って暗闇で手渡す紙。 その紙を受け取って、開いた頃障子の向こう側に蝋燭を灯した人影が映る。 「どうしよう、誰か来たよ」 「隠れる場所ないし……」 ひそひそとお互い話し合うも解決策はなし。  もう無理だと思って反射的に身を縮めた時、 障子があいて姿を見せたのは非行五箇条に名を連ねているはずの、 斎藤さんだった。
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