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手に腰から引き抜いたベルトを握り、奴が出てきたと同時に振りかぶる…よし、シミュレーション完了!
いつでも来い…ブッ叩いてやるから…!
ーーガサッ……ガッ!
紫姫「キタッ!!」
木々の草の間から飛び出してきた何かの生き物に躊躇いもなくベルトを振りかぶる。
?「きゅうううううう~っ!」
ことは、無かった。
何故なら飛び出してきたのは、羊のような毛をしたフワフワなウサギ。
色は白だが、シンクのような艶のあるボディに、片腕で抱けるほどのサイズ。
正直、飼いたい!
紫姫「な、んだよお前…一人か?
それにしても脅かすなよ…
えっまさか人食い?」
?「きゅきゅきゅー!!きゅきゅ…!」
あ、たぶんコイツ無害だ!
その生き物は頭をぴるぴると横に振って、次に潤んだ目で俺を見上げた。
耳を垂らしてきゅーきゅー鳴いて……可愛過ぎだろこの生き物…!
紫姫「……おいで」
?「きゅーーーっ!」
紫姫「ふわああああああ!////」
俺の言葉が通じるのか、一目散に胸元に飛び込んできた!
紫姫「てかよく見たらお前羽根生えてんじゃん!」
躊躇いもなくその生き物を抱きしめてわしゃわしゃと撫で回す。
小さい天使みたいな羽根が背中に2対生えてたり、モフモフしたマリモのようなしっぽがお尻にちょこんとついてたり…とりあえずこの生き物が途轍もなく可愛いということはわかった!
抱き心地も良く手触り滑らかなのにフワフワした綿毛のような毛で、重さも2キロあるかないかだから調度いい。
家で飼ってるポメラニアンを思い出す…
…元気かな、俺のわんこ……
?「きゅうぅ?」
少し俺の気分が下がったのを感じとったのか、その生き物は首を傾げてた。
紫姫「かわいいなお前……
なあ、俺ここにきてから独りなんだよ
良かったら、一緒に居てくれるか?」
?「きゅう!きゅ~ん♪」
やっぱり俺の言葉がわかるのか、嬉しそうにルビー色の目を輝かせて、体を俺の胸元へと擦り付けた。
…異世界も、中々悪くないな!
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