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『「Free Creation Online」、略して「FCO」! 本日遂に発売開始です!』
そんなゲームの宣伝が、つけられているテレビから聞こえた。
「んあ?」
俺は素っ頓狂な声を上げ、横にいる少年へと声をかける。
「うるさいな。止めてくれないか? 陸」
「嫌だよ、兄さん。これ、新しいVRMMOの宣伝なんだよ?」
こいつは、神代かみしろ 陸斗りくと、俺の弟だ。俺が言うのはなんだが、女子に間違われるほどの美形で、生粋の日本人。耳の下辺りまで伸びた黒髪、目元は優しそうな印象を与える黒目。
申し遅れたが俺は神代 黒斗くろと、平々凡々な外見。陸いわく、イケメンらしいんだが、自分ではよくわからない。足が早く、長距離走は苦手だが、短距離走ではクラストップ。これはひそかな自慢だ。
「兄さん、一緒にやろう! 楽しみだよ!」
急にテンションを上げた陸がそんなことを言い出す。
「でも評判がいい会社が出すから、人気で買えないんじゃないか?」
「ねぇ知ってる? 父さんって、その評判がいい会社に勤めているんだよぉ」
「急になんだ! 豆〇かよ!」
ツッコミを陸にかます。パクリはやめようぜ。
「だから、大丈夫なんだって! ねぇ? やろう?」
「スルーすんな! ……まあ、俺も興味があるし、二人でパーティーでも組むか?」
「わかりましたであります!」
俺も興味があったので、ここは俺が折れることにした。陸は嬉しそうに顔を綻ばせると、敬礼とともにそんな返答を返してきた。
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