第1章

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『「Free Creation Online」、略して「FCO」! 本日遂に発売開始です!』  そんなゲームの宣伝が、つけられているテレビから聞こえた。 「んあ?」  俺は素っ頓狂な声を上げ、横にいる少年へと声をかける。 「うるさいな。止めてくれないか? 陸」 「嫌だよ、兄さん。これ、新しいVRMMOの宣伝なんだよ?」  こいつは、神代かみしろ 陸斗りくと、俺の弟だ。俺が言うのはなんだが、女子に間違われるほどの美形で、生粋の日本人。耳の下辺りまで伸びた黒髪、目元は優しそうな印象を与える黒目。  申し遅れたが俺は神代 黒斗くろと、平々凡々な外見。陸いわく、イケメンらしいんだが、自分ではよくわからない。足が早く、長距離走は苦手だが、短距離走ではクラストップ。これはひそかな自慢だ。 「兄さん、一緒にやろう! 楽しみだよ!」  急にテンションを上げた陸がそんなことを言い出す。 「でも評判がいい会社が出すから、人気で買えないんじゃないか?」 「ねぇ知ってる? 父さんって、その評判がいい会社に勤めているんだよぉ」 「急になんだ! 豆〇かよ!」  ツッコミを陸にかます。パクリはやめようぜ。 「だから、大丈夫なんだって! ねぇ? やろう?」 「スルーすんな! ……まあ、俺も興味があるし、二人でパーティーでも組むか?」 「わかりましたであります!」  俺も興味があったので、ここは俺が折れることにした。陸は嬉しそうに顔を綻ばせると、敬礼とともにそんな返答を返してきた。
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