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「…っあ、……待っ」
一瞬呆気に取られた俺に、更に触れるだけのキスを重ねてから、彼は捲り上げて顕わにさせた俺の胸元に、指先を滑らせた。
一度焦らすみたいに、周辺の肌を辿ったのち、不意に弾かれた胸の先から、思いがけない痺れが走る。
殺す余裕も無く漏らした自分の声に、たちまち眦が熱を持った。
そんな程度で、どうしてここまで動揺しているのか理解できない。でも、
「わ、やめ…ちょっ……」
それを理解するより先に、彼の唇は俺の首筋に触れて、鎖骨へと落ち、やがて胸元へと位置を変えていく。
長めの髪先が肌の上を掠めるだけでも、心許無い浮遊感が背筋を競り上がり、
「ン、あ……っ」
指とは逆側の突起にまで舌先が及ぶと、信じられないほど甘い声が勝手に口から漏れた。
脚を割って片膝を置かれ、そのまま何かを探るように下腹部を押し上げられる。
俺は咄嗟に息を呑んだ。
俺の上に影を落としている彼の、腰辺りまでは布団が掛かっていて、その動きまでは目には見えない。
だけど、見なくても何をされているかは明白で、わけも解らないまま、俺は自分の反応を自覚するしかなかった。
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