24...一線*【Side:三木直人】

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「ぃ――…っ、…あっ……!」  入口へと宛がわれた彼の屹立が、徐々に中へと押し入るのに、引き攣ったような呼気が漏れる。  力を抜こうにも身体は勝手に強張って、不慣れな圧迫感はやっぱり俺の心を怯ませて止まない。 「直人……」  だけどそれも、何度も宥めるように名を呼ばれ、強く閉じた瞼にキスを落とされると、不思議と安堵に摩り替わって行くような気がするから不思議だ。  今まで考えたこともなかったことなんだから、怖いのは当たり前――。そう先に口にしたのは、彼の方だった。  本音を言えば、俺は怖いと思うことすら悔しくて、そんなだから、自分から怖いとはなかなか言えなかった。  だけどそれすら解っていたみたいに、彼は何でもない風に優しく言った。  それもまた、今まで知らなかった彼の一面だった。  俺は胸の奥がじんと熱くなるのを感じながら、 「…もう…いい、平気だから……」  彼の肩に添わせていただけの手に少し力を込めた。最後の覚悟を決めたように。 (そこで躊躇うキャラじゃねーだろ……)  見上げた瞳に、彼の相貌が映る。  いつになく、気遣わしげで必死な表情だった。 「――…っ」  一瞬の逡巡の末、応えるように彼はゆっくり俺の上へと上体を倒した。  唇を重ね、気を散らすように俺の中心へと再び手を伸ばし、そうして、 「…い、……逸、樹…さっ……」  ようやく全てを収めきった頃には、いつの間にか俺も彼の背を強く抱きしめていた。
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