1832人が本棚に入れています
本棚に追加
「ぃ――…っ、…あっ……!」
入口へと宛がわれた彼の屹立が、徐々に中へと押し入るのに、引き攣ったような呼気が漏れる。
力を抜こうにも身体は勝手に強張って、不慣れな圧迫感はやっぱり俺の心を怯ませて止まない。
「直人……」
だけどそれも、何度も宥めるように名を呼ばれ、強く閉じた瞼にキスを落とされると、不思議と安堵に摩り替わって行くような気がするから不思議だ。
今まで考えたこともなかったことなんだから、怖いのは当たり前――。そう先に口にしたのは、彼の方だった。
本音を言えば、俺は怖いと思うことすら悔しくて、そんなだから、自分から怖いとはなかなか言えなかった。
だけどそれすら解っていたみたいに、彼は何でもない風に優しく言った。
それもまた、今まで知らなかった彼の一面だった。
俺は胸の奥がじんと熱くなるのを感じながら、
「…もう…いい、平気だから……」
彼の肩に添わせていただけの手に少し力を込めた。最後の覚悟を決めたように。
(そこで躊躇うキャラじゃねーだろ……)
見上げた瞳に、彼の相貌が映る。
いつになく、気遣わしげで必死な表情だった。
「――…っ」
一瞬の逡巡の末、応えるように彼はゆっくり俺の上へと上体を倒した。
唇を重ね、気を散らすように俺の中心へと再び手を伸ばし、そうして、
「…い、……逸、樹…さっ……」
ようやく全てを収めきった頃には、いつの間にか俺も彼の背を強く抱きしめていた。
最初のコメントを投稿しよう!