26...届く声(完)【Side:三木直人】

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 大して大きくも無い、俺も一本自宅に持っているのと同じビニール傘を相原に借りて、俺は言われたままに校門の前へと向かった。  相原は、丁度同じ駐車場へと向かう別の友人の傘に入れて貰い、車を取りに行っている。  彼の誘いに応じることに躊躇いがなかったわけでもないが、だからと言って上手く断ることもできず、結局俺は彼の勢いに流される形になってしまった。 (…まさか俺と山端さんが、いまどうなってるとか、知らねーと思うけど……)  以前相原は、俺のバイト中にわざわざ、山端さんと別れた報告をしに来たことがある。  その時俺はまだ答えを出していなかったけれど、その時の相原の表情に、優しくしてやりたいと思ったのも確かだ。  できることなら、もうこいつが泣くことが無いよう、幸せになって欲しいとも。  なのに、それが今となっては、俺が山端さんと付き合っているような状態になっていて、そうなると余計、彼の言い分には出来るだけ応えてやりたいとも思ってしまって。  引け目を感じているからとは、思いたくは無いんだけど…。まぁ、それも無きにしも非ずって感じで。 (……つか、雨、ホントよく降るな)  そんなことを考えていたからか、視線は上げていたものの、前方を通過した見覚えがあるはずの車にもすぐには気付かない。  と、その視界を、間も無く到着した相原の車が埋め尽くす。
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