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02...苛立ち【Side:山端逸樹】
年末が近付くと、街はそわそわと落ち着かない感じになる。
仏教徒が多いはずのこの国で、あちこちがイルミネーションで彩られ、クリスマスソングがいたるところから流れてくるさまはどこか滑稽だ。
今までの俺は、そんな周りの様子を冷めた目で眺めながら日々をやり過ごすだけだった。でも、今年は違う。
(何てったって直人と過ごす初めてのクリスマスだしな)
本当は去年、直人と付き合うようになった直後にクリスマスが一度訪れていたりする。だが、去年の今頃は、受け持ちの現場で事故を起した関係で、俺は慌しく過ごす羽目になったのだ。
不本意ではあったが、あのときの俺は事後処理をするのに手一杯で、クリスマスムードに浸る余裕なんてなかった。
だからこそ余計今年は、と思う。
ちゃんと直人と過ごすことを想定して、仕事のほうも効率よくこなした。
体調だって、怪我をしていた去年と違って万全だし、このまま行けば楽しい一夜を手に入れられるはずだ。
そんなことを思っている矢先だった。直人から呼び出しを受けたのは。
正直ここのところ、直人のほうがゼミやら卒論やらでバタバタしていたせいで、マトモに顔を合わせていなかった。
そんな中でのお誘いだったから、俺は一も二もなく彼の大学へ向かい、直人に促されるままその足で近所のファミレスへ行ったのだ。
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