05...だからどうして【Side:三木直人】

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 05...だからどうして【Side:三木直人】

(マジ、で冗談キツい……)  あたりに人影がないのを知っていたから、そこまで騒ぐことはしなかったけど、それでもいつ来店時や帰宅時の客が通りかかっても可笑しくない状況だ。  そもそも、あまりにも容易に車内へと引き込まれ、あまつさえ運転席なんかに組み敷かれてしまった自分が本気で情けない。まぁ、それもドアを開けたかと思ったら、次にはシートを倒していたような彼の手際が良すぎるのが大きいんだけど。  それにしても、本当にわけがわからない。  怒って出て行ったかと思えば、大人しく待っていてくれるし、無視されるかと思えばあっと言う間にこの状況だ。  まったく、その身勝手さには呆れるを通り越して感心してしまう。 (まぁ、これでも結構慣れてきたつもりだけど……)  俺は覆い被さるようにして俺を見下ろす彼の顔を、ともあれ真っ直ぐ見上げて言った。
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