05...だからどうして【Side:三木直人】

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「だから、クリスマス……。時間あるなら、一緒にどっか行かねぇかなって……」  気を取り直し、少しずつ当初の言葉を紡いでいくと、意図せず頬が熱を持ってくる。  それもそのはず、自分はその話を自分から持ち出すのが気恥ずかしくて、ほとんど照れ隠しにあっち――俺の将来について――の話を先に持ち出したのだ。  思い出すと、一層目端に赤みが増して、 「最悪、晩御飯だけでもさ。何か一緒に……ケーキ――がいやなら、酒となんか、軽いものだけでもいいし」  俺は慌てて誤魔化すように視線を逸らした。  彼の重みでろくに動くこともできない中、それでもどうにか身じろいで、できれば助手席に逃げようと算段する。 「ちょっと……とりあえずそこ退けよ。重い。痛い」  自らの表情を悟られたくなくて、努めて声から抑揚をなくす。  言い捨てるように告げて、今度は少し強引に身体を起こそうとした。  が、やはり彼の力は緩まない。俺は再度抗議しようと口を開いた。 「ちょ――…聞いてんの、逸樹さん?」  するとようやく彼は小さく頷き、 「クリスマスか……そうだな」  どういうつもりなのか、俺の気のせいでなければ、稀に見る笑顔をそこに浮かべたのだ。
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