07...期待と不安と【Side:三木直人】

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「何で圏外……」  当日の約束の時間――午前十一時になっても彼は一向に現れない。 「その時間までに迎えに行くから、一分たりとも遅れねぇように用意しとけ」  そう何度も釘を刺したのは彼の方だ。  そのくせ、時間を過ぎても一言の連絡もない彼に、俺は「言った自分が遅れてんなよ」とこぼしながら電話をかけた。  しかし、 「……電池切れか?」  再び通話ボタンを押して待ってみても、聞こえてくるのは繰り返し同じアナウンスのみ。  このまま外で待ち続けるのは正直きつい。  俺は携帯で時刻を確認し、一端自室に引き上げることにした。  時刻は既に一時前。時折部屋に戻ってはいたものの、身体は随分冷えていた。  切っていたエアコンのスイッチを入れて、傍らのベッドに腰を下ろす。  ジャケットは着たまま、首にはマフラーを巻いたままで、小さく首を捻った。  手の中の携帯画面をじっと見詰め、暫く様子を窺ってみるが、 「ていうか、何? は? どう言うこと?」  依然としてパネルのライトが点くことはなかった。
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