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(――何でこんなことになるんだよっ!)
時刻は二十四日の午後一時。直人との約束の刻限は大幅に過ぎてしまっていた。
散々、直人に遅れるなと念を押したくせに、自分がこれじゃあ彼に合わせる顔がない。
死にそうな思いで直人のアパートに辿り着いた俺は、ひとまず無事にここへ到着出来たことにホッとした。それと同時にドッと疲れが押し寄せてきて、自然顔が不機嫌になる。
昨日、山中でお目当てのものを手に入れた俺は、嬉々としてそれを荷台に載せた。で、いざ帰宅!という段になってポンコツ車にエンジンが掛からなくなってしまったのだ。
何分山奥でのこと。助けを求めてちょっと前に立ち寄った道の駅まで歩いて戻ったら、辺りはすっかり夕闇に包まれてしまった。
道の駅に着いてから、圏外で役立たずの携帯を軽トラの中に置き去りにしてきたことに気付いた俺だったが、さすがにそんな状態のなか、またさっきの場所まで戻る気にもなれなくて渋々ビジネスホテルを手配してタクシーに乗り込んだのだ。
風呂には入ったが、着替えはないという最悪の状態のもとで一夜を明かした俺は、タクシーの運転手に頼んで適当な車修理工場を紹介してもらった。
昨日からの顛末を話し、彼らと共に軽トラへと戻った頃には九時半を過ぎていた。
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