13...これから【Side:三木直人】

1/4
前へ
/354ページ
次へ

 13...これから【Side:三木直人】

 まさか「実家を見てきた」なんて言われるとは思わず、俺はそれを聞いた瞬間、また少し驚いた。  だけどそれも、わざわざクリスマスに合わせて山で木を切り出してきた現状を思えば、大したことじゃない気もする。寧ろやってて当然とでも言うような。  まぁ、恐らくはこのなかなかお目にかかれない状況に、感覚が麻痺しちゃってるんだとは思うけど。  だから俺は、少なくともその点について過剰な反応はしなかった。  でも――、 「そうなんだよ。うち私設だからな、庭って言っても一般家庭と似たような広さだから、ツリーも大体部屋の中だけでさ」  次がれた言葉には流石に驚きを隠せなかった。  俺はまだ具体的な話は何も言い出していないのに、彼は自力でそこに辿り着いたのだ。  予想外だった。  だってきっとまだ、口では何て言おうとも、怒っているに違いないと思っていたから。  俺の決めた将来とか、一方的な事後報告みたいになってしまったこれからのこととか。それら全てを受け入れて貰うにはもっとずっと時間がかかると思っていた。  そしてその点では俺も、ちゃんと解かってもらえるまで頑張ってみるつもりでいたのだ。  なのに、 「でも、いいの。逸樹さんがせっかく苦労して用意してくれたのに。俺子供たちに見せてやりたいって言ってんだよ。しかも、そのまま実家に置いてきたいって」 「構わねぇよ。もう、ここまできたら一緒に飾りつけできるだけでいいことにする」  再度確認するように問い返してみても、彼はそう言って表情を和らげるだけ。
/354ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1831人が本棚に入れています
本棚に追加