1835人が本棚に入れています
本棚に追加
俺にとってゴムは必需品だ。
誰かと交わることは嫌いじゃないけれど、直にするのには抵抗がある。
どんなに深く身体を繋げても、薄皮一枚で隔絶されている状態。そのぐらいの距離が心地よいと感じる俺は、やっぱり問題ありなんだろうな。
そんなことを思いながら激しくグラインドを繰り返す俺の下で、大人の男と呼ぶには未熟な身体が揺れる。
指が白くなるぐらいシーツを握り締めたその姿に、俺は酷く興奮した。
初めてだったんだろう。挿れた瞬間ひきつったような声を上げた彼に、俺は気付いていて知らん振りをした。
数ヶ月前から通い始めたジムで出会った男。
十代後半ぐらいの幼さの残る彼を、欲求不満解消のためだけにホテルへ連れ込んだ。
彼が、いつも俺のことを見ているのは知っていたから。羨望の眼差しで俺を見詰める彼が、誘えば断らないと計算ずくで声をかけたのだ。
甘い囁きも、優しい愛撫も、キスさえも、俺には無縁のしろものだ。
出したいから抱く。
相手は誰でも構わない。
それこそ、今回のように女じゃなくっても一向に気にしない。
酷いヤツだと自分でも思うけれど、こういう性分なんだから仕方ない。
一夜限りのこの逢瀬が終われば二度と会うつもりはない。
後腐れのない関係が一番望ましいからだ。
(始めたばかりのジムだけど、解約しなくちゃな)
そんなことを思いながら、俺は袋の中に欲望を吐き出した。
最初のコメントを投稿しよう!