13...これから【Side:三木直人】

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 本当に想定外だ。やっぱりこの男は読めない。  読めそうで読めないというか、読めているつもりで読めていないのかもしれないというか。  もはや、俺の内心はお手上げ状態だ。  彼の言動にいちいち素直に反応していたら、多分――いや、絶対身が持たない。 「……わかった」  俺は彼の言い分に改めて感謝するように頷いて、 「じゃあ、とりあえず上がってよ」 「?」 「そのカッコじゃ行けねぇだろ。シャワー、うちのじゃ狭いけど……使って」  不意に彼の袖をつんと引っ張る。  汚れを示すようにも、言葉通りに部屋へと促すようにも。 「気に入るかどうかはわからないけど、俺も一応用意してたものがあるし」  俺の好きに使える金額なんて、逸樹さんに比べれば微々たるものだけど。  でも、それでも俺がこのクリスマスプレゼントに選んだのは、 「あー、でも余計ホスト連れてきた、みたいに言われるかな。母さんとか秋ちゃんに。――まぁ、それはそれでいっか」  俺には到底似合わないけど、いつか逸樹さんが着ているのが見てみたいなとか思っていた、濃いグレーのシャツと黒いストレートパンツ。 (股下知った時には微妙に殺意抱きそうになったけど――)  なんて、思い起こしては心の中で揶揄めかし、 (でも、一応役には立ちそうでよかった……かな)  ひとまず俺は彼の手を引いたまま、一旦自室へと引き上げることにした。
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