14...その夜(おまけ)【Side:三木直人】*

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 14...その夜(おまけ)【Side:三木直人】*

 予定通り実家にもみの木を届け、そのままの流れで飾り付けも手伝って、そこから更にクリスマス会にもお呼ばれしちゃった後――。  当然のように泊まっていくよう勧められたのを何とか断り、どうにかその日のうちに帰ってきた先は、ひとまず俺の住むアパートだった。  本当はまっすぐ逸樹さんちに行っても良かったんだけど、一応俺がバイト先で調達したものとは言え、クリスマスケーキとシャンパンなんて用意しちゃってたから――。 「すぐ取ってくるから車(ここ)で待ってて」  俺はそれを取りに行くため、独り足早に車を降りた。車はアパート傍の路肩にとめられていた。  時刻は丁度0時を回ろうとしていたところだった。  部屋に上がった俺は、電気もつけずにまっすぐ冷蔵庫に向かい、ドアを開けて中を覗き込んだ。  ワンルームの間取りによくあることだが、キッチンは入ったらすぐ目の前だ。  目的のものだけ持ったらさっさと戻るつもりだったから、上着ももちろん着たままだったし、冷えている室内も当然そのままだった。 「これと、これと……」  学生の一人暮らしと言うことで大きくはない冷蔵庫から、手近にあったコンビニの袋にシャンパンを取り出し、次いでケーキの箱に手を伸ばす。  と、そこで不意に玄関扉が開く音がして、俺は思わず顔を上げた。
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